寺院の 火災 は灰の始末に注意

2月、3月の 火災 に注意。

寺院の 火災 は灰の始末に注意を

消防庁 消防大学校 消防研究センターの文化財建造物等の防炎対策に関する研究報告書(2000年)によれば寺社・寺院火災の主要出火箇所は外周部であり、放火を除けば火の不始末が主要な出火原因でした。

一般的には、2月・3月の乾燥と強風が火災の大きな要因となりますが、寺院の特徴として「灰の取り扱い」により失火する例が過去にも多くあります。

  • 暖房の火鉢(1973年の方広寺大仏殿の出火原因)
  • 護摩やお焚き上げ、香炉、落ち葉などの焼却灰(2015年の高台寺倉庫の火災原因)
  • 焚火(1983年の高槻市金龍寺)

怖いのは「消したつもり」と「消えたはず」~灰の取り扱いには十分注意しましょう。

 

炭の消し方

  1. 火消し壺
    完全に火を消す場合は、火消し壺に入れるのが確実です。炭を空気から遮断することで完全に消火できます。しかし火消し壺自体の熱で引火することのないように、壺の付近には可燃物を置かないようにしましょう。
    過去には火鉢のがたつきをおさえるために下に挟んでいたかまぼこ板が炭化して火事になった例もあります。
  2. 水を入れたバケツに炭を沈める
    火箸で炭を水の中に一つずつ沈めて消火します。水が沸騰して飛び散るので炭を一度に入れるのは危険です。
  3. 灰になるまで燃やしきる
    灰になればそれ以上燃えません。
    焼香炭のような小さな炭であれば、灰をかぶせたり、灰に埋めたりすることでもゆっくり消えます。

いづれの方法でも完全に消えたことを必ず確認しましょう。良く確認せずに灰・炭を落ち葉の山に捨てたり、段ボールに納めてじわじわと発火した例もあります。

※安易に水をかけるのは高温の水蒸気が発生して危険です。

 

寺院の火災保険について

寺院の再建費用は大変高額です。そして寺院の保険でもっとも重要なのは評価額の設定になります。保険金額ばかり意識しても、評価額とのバランスが取れていなければ必要な保険金支払いは得られません。定期的に評価・鑑定をし、目的に応じた保険金額を設定する必要があります。

経過年数や使用消耗によって下がった建物や家財の価値を基準にして損害額をお支払いするため、修理費が全額補償されなかったり、同等のものを新たに建築あるいは購入するだけの費用が補償されなかったりすることがあります。

おてらの火災保険

寺院専門のアドバイザーが、火災保険見直しのお手伝いをします。

保険は日々進化しています。ご相談も無料ですので、定期的な保険の見直しがおすすめです。
ご相談をお待ちしております。

寺院火災が増えてます。

京都市で複数の寺院火災が報告されています。 空気が乾燥するこの時期、火元にご注意ください。

2018.01
2018.02
2018.03
2018.04
2018.06.18

2018.01

【左京区】2018年1月25日
銀閣寺の近くにある 安楽寺 の庫裏が全焼

 25日午前6時10分ごろ、国の登録有形文化財が複数ある 安楽寺 より110番通報。境内の庫裏(木造2階建て2棟、計約150平方メートル)が焼失、有形文化財の本堂、書院、山門に被害なし。京都市消防局は庫裏が火元で、隣接する客殿にも燃え移ったとみている。

安楽寺は哲学の道や法然院の近くにあり、7月のカボチャ供養で知られる

2018.02

【福知山】2018年2月4日
京都府福知山にある教念寺の庫裏が全焼

4日午後1時半ごろ、京都府福知山市野花、浄土真宗本願寺派教念寺から出火、庫裏部分の木造2階建て延べ約450平方メートルが全焼、2時41分鎮火。出火当時は無人だった。

両丹日日新聞~『近所の人によると、暖炉付近から火の手が上がり、「ものの5分ほどで広まった」という。』

2018.03

【右京区】2018年3月9日
嵯峨野にある 化野念仏寺 の物置でボヤ

9日午後4時50分ごろ、京都市右京区の化野(あだしの)念仏寺から「物置から煙が出ている」と119番通報。境内にある木造平屋の物置小屋の屋根裏など約5平方メートルを焼いた。

産経WEST~『午後1時半ごろ、竹を焼いて作った炭を寺の関係者が物置内に置いたという。』

化野念仏寺 は「千灯供養」で知られる浄土宗の寺院。

2018.04

【伏見区】2018年4月18日
伏見にある 伏見稲荷大社 のほこらでボヤ

18日午後3時ごろ、京都市伏見区の 伏見稲荷大社 の職員から「ほこらが燃えている」と119番通報。境内にある木造平屋の拝所の屋根の一部、約0.6平方メートルを焼いた。

拝所は稲荷山の中腹、熊鷹社の近くで、外国人観光者が火のついているのを発見し、近くの茶屋の店員がバケツで消火した。

西日本新聞~『市消防局はカラスがろうそくを落としたことによって出火した可能性もあるとみている。(中略)過去にカラスが境内に供えられた火の対いたろうそくを運んだことが原因とみられるぼやもあったという。』

伏見稲荷大社 の熊鷹社は「こだま池」のほとりにあり、池に向かって拍手する反響の早さで、願いの叶う時期を知ることができるという。

過去(2013年12月15日午後3時40分ごろ119番)には伏見稲荷大社北側の参道脇で、樹齢百年の大木の一部を焼くぼやがあった。火事の直前、参拝客から「火のついたロウソクをカラスがくわえて飛んでいった」との目撃情報があった。カラスは、ろうそくの油脂分を好むという。

2018.06.18

文化財被害2018.6.18

地震(平成 30 年 6 月 18 日 )に伴う被害

【 6 月 18 日 7 時 58 分に発生した地震の概要】
・発生日時 平成 30 年 6 月 18 日 7 時 58 分頃
・震源地名 大阪府北部
・震源の深さ 約 13 ㎞
・規模 マグニチュード 6.1

6/23まで、余震が確認された。

本地震による文化財への被害は以下の通り

【重文】
  • 西園寺木造阿弥陀如来坐像 仏像頭部の肉髻珠が脱落
  • 旧武徳殿 漆喰壁一部ひび割れ及び浮き、建物北側の敷石にずれ
  • 旧真宗信徒生命保険株式会社(本願寺伝道院) 内部天井の一部破損、扉金具の損傷
  • 三十三間堂 木造千手観音立像 57 躯の天衣、持物等の脱落及び落下
  • 泉涌寺木造観音菩薩坐像 宝冠の装飾が脱落
  • 大覚寺宸殿 漆喰壁の一部に亀裂
    客殿 漆喰壁の一部に亀裂
  • 角屋 棟瓦のずれ

【国登録有形文化財】

  • 京都大学尊攘堂 壁の一部亀裂、剥落
  • 月見館本館 一部瓦が落下
【国指定史跡】

  • 本願寺境内 唐門東側土塀の瓦が一部落下
  • 大覚寺御所跡 史跡地内建造物の壁に亀裂

【府指定】

  • 隣華院玄関 漆喰壁2面脱落、腰長押が避ける
  • 十輪寺本堂 降棟、軒瓦の脱落

【名勝】

  • 東本願寺渉成園 藤棚「紫藤岸」が倒壊
  • 並河家庭園 灯籠の上部が落下

【指定無し】

  • 安井金毘羅宮 石鳥居の一部落下
  • 泉涌寺 唐門の瓦落下
 
参考)京都市災害対策本部
6/18地震
http://www.bousai-kyoto-city.jp/bousai/dat/disaster/H300618jishin23.pdf
2018.06.18
2017.12

2017.12

【下京】2017年12月16日 東本願寺
東本願寺 絵表所でボヤ。床の一部と畳、道具類を焼く。

16日正午ごろ、京都市下京区烏丸通七条上ルの東本願寺絵表所(えひょうじょ)2階から出火、木造2階建て約580平方メートルのうち2階の床の一部とエアコン、筆などの道具類を焼いた。寺の関係者が発見、消火器ですぐに消し止め8分後に鎮火した。文化財被害なし。

絵表所は本尊や掛け軸などを製作・修復する場所。この日は朝から絵師が修復作業の準備をしていたが、出火当時は外に出ていて無人だった。

真宗本廟境内における火災のお詫びとご報告について

真宗本廟(東本願寺)北側にある絵表所におきまして、12月16日正午頃に火災が発生いたしました。関係する皆様にご心配、ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。(中略)今回の件を真摯に受け止め、さらなる安全管理体制を徹底し再発防止に尽力してまいります。2017年12月19日

東本願寺お知らせ(2017年12月28日更新)より

2017.12

寺院の火災報知器

消防局の指導もあり、火災報知器が設置されていること思います。寺院の場合は集中型の火災報知器(複数個所の報知器をまとめて管理するもの)が導入され、規模に応じて通報装置(火災時に自動で119番されるもの)や、警報装置(火災が起きたことを敷地内に知らせるもの)が設置されているでしょう。

 

多くの場合は、これらが電源(有線)で動作しており停電(60分以上)や落雷で機能しない恐れもあります。また日中の火災を想定して設置されていると、夜間など庫裏や住居寝室にいると本堂の警報に気づかない状況もありえます。

既存設備に加え、連動型ワイヤレス感知器(電池型)を設置して、住居など生活空間でも寺院設備の火災を把握できるようにしておくとより安心です。